2026年10月版 市民のための自衛ガイド
便乗詐欺の手口と、見分けずに防ぐ方法
大量の漏えいに便乗した詐欺に注意が必要です。漏れた情報の種類によっては、あなたの名前、使っているサービス、注文や配送の内容を知った相手から連絡が来ることがあります。見分ける力だけに頼らず、連絡とは別の経路で確かめるルールを使います。
- 事実には出典を明記
- 最終更新 2026年10月16日
ただ一つのルール:届いた連絡からは動かない
| 届いた連絡 | やってはいけないこと | 代わりにやること |
|---|---|---|
| メール・SMS | リンクを押す。添付ファイルを開く。QRコードを読み取る | 公式アプリか、ブックマークしておいた公式サイトから開いて確認する。本物と同じ送信者名で、本物のSMSと同じスレッドに偽物が並ぶことがある |
| 電話 | その場で答える。言われた番号にかけ直す | 一度切る。カードの裏面、通帳、公式サイトの番号に自分からかける |
| 郵便 | 書かれた番号やQRコードを使う | 以前から使っている公式アプリ・ブックマーク、手元の契約書などから窓口を確認する。検索広告の番号は使わない |
| 訪問 | ドアを開ける。身分証を見て信用する | インターホン越しに用件を聞き、会社や役所の代表番号に確認する |
| LINE・SNS | 返信する。ビデオ通話に応じる。「届いた認証番号を教えて」に答える | 本人に、電話など別の方法で確認する。LINEの認証番号は、家族や友人に頼まれても教えない |
| 「アプリを入れて」「画面を見せて」 | 言われたアプリを入れる。画面共有や遠隔操作を許す | 相手が警察、銀行、携帯会社、パソコンのサポートを名乗っても断り、電話を切る |
差出人の表示名、ロゴ、文面、あなたの名前や注文番号は本物らしく見せられます。生成AIを使えば、誤字のない自然な文面や、本人そっくりの声・顔も作れます。警察署など実在する番号の着信表示も偽装された例があります。以前から使っている公式アプリやブックマーク、手元のカード・契約書から自分で確認してください。検索結果の広告や、届いた連絡に記されたURL・番号は独立した確認先になりません。公式サイトに見える検索結果もURLを確認し、不安なら別の既知の経路を使います。
典型的な手口
① 「お詫び」「補償」をうたう型
- 期限を切って急がせる
- リンク先で「本人確認」としてカード番号やパスワードを入力させる
- 補償の有無・内容は会社ごとに異なります。例えばタイムズカーは、調査結果を踏まえて方針を決めると説明しています(10月6日時点)。届いたリンクや指定された番号から手続きせず、会社の公式窓口で案内の内容を確認してください
本物の通知の確かめ方:そのサービスの公式サイトを自分で開き、「お知らせ」や「重要なお知らせ」に同じ内容があるか確かめます。個別の案内で公表ページが見当たらない場合は、手元の契約書や公式アプリから窓口を開いて問い合わせます。本物の通知でも、手続きは公式アプリや公式サイトから行います。メールや電話で認証コード・パスワード・暗証番号を求められても伝えないでください。必要な手続は独立して開いた公式窓口で確認します。
② 「再登録」「パスワード変更」を急がせる型
- 「停止」「凍結」で脅す
- 偽のログイン画面で、IDとパスワード、続けてSMSの認証コードを入力させる。入力した内容は、その場で本物のサイトに使われます
パスワードを変えるなら、公式アプリか、ブックマークした公式サイトから変えます。正規のパスキー認証はサイトのドメインに結び付き、偽サイトで正規サイト用のパスキーを使うことはできません。ただし、同じアカウントに残るパスワード等の別のログイン・復旧経路は狙われます。端末の生体認証だけで安全性が保証されるわけではありません。
③ ニセ警察・公的機関型
- 警察が電話で逮捕状を告げたり、LINEやビデオ通話に誘導したりすることはない。ビデオ通話に制服や警察手帳、逮捕状が映っても、本物の証拠にならない
- 「捜査のため」と送金や暗証番号を求める連絡には応じない。「資産を保護する」「口座を調査する」と言って、振込や現金の受け渡しをさせるのが、この詐欺のお金の取り方です
- 「家族にも言わないで」「捜査の秘密」と口止めする
- 流出した免許証情報を知っているだけでは、警察官の証明にはならない
始まりは警察とは限りません。「総務省」「NTT」などを名乗り「2時間後に電話が使えなくなる」「1を押して」と流れる自動音声の電話や、「携帯電話の未納料金がある」という電話から、途中で警察官役に代わる流れも確認されています。自動音声の電話は、最後まで聞かずに切ります。
警察庁は、警察本部・警察署の実在する代表番号が着信画面に偽装表示された事例を公表しています。番号が本物に見えても通話を切り、着信履歴や相手の指定した番号を使わず、公式案内で確かめた警察署の番号か警察相談専用電話 #9110 に自分でかけます。緊急時は 110 です。
役所を名乗るメールやSMSも同じです。マイナポータルを装い「電子証明書の有効期限が近づいています」「戸籍へのフリガナ記載についてご確認ください」という件名で偽サイトへ誘う例が確認されています。デジタル大臣は、マイナポータルの公式アプリか、ブックマークした公式サイトから確かめるよう呼びかけています。年金、税金、還付金の連絡も、届いたリンクではなく、公式アプリや手元の通知書から確かめます。
④ 「個人情報を削除します」型
- 国民生活センターは、個人情報の削除をしたり、それを電話やハガキで持ちかけたりしません
- 第三者が漏えい済みの情報を一括で消せるという保証はありません。料金や番号の提供を求められても応じないでください
漏えい情報の削除を持ちかける相手には、その場で答えず、消費者ホットライン 188 などで相談してください。マイナンバーだけで行政手続はできませんが、番号やカード画像をむやみに渡す必要もありません。「ダークウェブで見つかった」として入力を求めるサイトも、別の経路で確認してください。
⑤ 精度の上がった不在通知・配送型
- 宅配会社を名乗る偽のSMSは、何年も前から大量に出回っている手口です。今回は名前や実際の配送に合わせて、さらに本物らしくなるおそれがあります
- 佐川急便のお荷物問い合わせサービスでは、約100日分の荷物の送り主と届け先(氏名・住所・電話番号)や、スマートクラブ会員の情報が、ヤマト運輸のクロネコ代金後払いサービスでは購入者の情報と商品の明細が、漏れた可能性が公表されています。実際の注文に合わせた偽の連絡が届くおそれがあります
荷物は、注文したお店の注文履歴や、宅配会社の公式アプリで追跡番号を入れて確かめます。
⑥ 「乗り換え」「会社がなくなる」型の勧誘電話
「今の会社は倒産する」「契約が使えなくなる」「手続きのためログイン情報を教えて」と電話で聞き出す手口です。hi-hoでは、主にこの方法で聞き出された情報による不正ログインが38,509件(契約単位)確認されました。ログインID、パスワード、生年月日を電話で伝えない。その場で答えず、一度切って、契約している会社の公式窓口に確かめます。
⑦ 返金・口座確認型
「補償金をお振り込みするため、口座番号と暗証番号を入力してください」「キャッシュカードの交換が必要です」。電話・メールの相手に暗証番号や認証コードを伝えず、キャッシュカードを渡さないでください。必要な認証操作は、自分で開いた公式窓口の案内で確認します。「口座が犯罪に使われている。守るために別の口座へ移して」も同じ仲間です。突然の連絡で警察や銀行を名乗り、資産保護のために別の口座へ移すよう求められても応じず、独立して開いた公式窓口へ確認します。
⑧ パソコンやスマホを操作させようとする型
- 「このアプリを入れてください」「画面を共有してください」「遠隔で確認します」と言われたら、相手が誰でも断ります。入れると、画面に出る認証コードや通知、入力した暗証番号が相手に見えたり、操作されたりします。遠隔操作や画面共有のアプリで、借金や振込をさせられたという相談も寄せられています。
- パソコンの修理代として「100円」をネットバンキングで送金したはずが、遠隔操作で「0」を足され、100万円が送金された例があります。知らない相手とつながったまま、銀行や決済のアプリやサイトを開かないでください。入れてしまったら、被害に遭ったときの手順へ進みます。
- スマホでは、「アプリの更新」「Android版だけの特典」などのメールやSMSから、公式ストア以外のアプリを入れさせる手口があります。入れるときに「アクセシビリティ」「デバイスのフルコントロール」「VPN接続」の許可を求められたら、その場でやめます。これらの許可を悪用して、決済アプリで勝手に買い物をされた例があります。
- 「ウイルスに感染しました。こちらにお電話ください」と大きな音と画面で脅すのは、サポート詐欺です。電話せず、ブラウザを閉じます。閉じられない場合はパソコンを再起動します。
- 「ロボットではないことを確認するため、Windowsキー+Rを押し、Ctrl+Vで貼り付けてEnter」と指示する画面は、不正なコマンドを実行させる手口のおそれがあります。指示に従わず、画面を閉じてください。実行すると、ブラウザーに保存したパスワードやログイン状態を盗まれることがあります。
- 銀行やカード会社のサイトは、検索結果の広告からではなく、ブックマークか公式アプリから開きます。広告に偽サイトがまぎれることがあります。
⑨ SNS・広告・出会いから始まる「もうかる話」
2026年1〜8月の警察庁の特殊詐欺の手口別暫定値では、SNS型投資詐欺の被害額が最も大きくなっています。同資料では、SNS型投資詐欺が約937億円、SNS型ロマンス詐欺が約326億円、ニセ警察詐欺が約729億円です。漏れた年齢、住所、証券口座や買い物の履歴は、勧誘の相手を選ぶ材料になりえます。
- 著名人が投資を勧める広告やSNSのメッセージから、「無料の投資セミナー」「LINEグループ」に誘う。著名人の画像や動画は無断で使われ、AIで作られたものもある
- 画面上では利益が出たように見え、少額は引き出せる。増額を勧められ、全額を引き出そうとすると「手数料」などを先に払えと言われる
- SNSやマッチングアプリで知り合い、会ったことのない相手が「2人の将来のために投資を」と勧める
- SNS、広告、知り合ったばかりの相手から知った投資話には、お金を入れない。「必ずもうかる」「元本保証」は、それだけで疑います。
- 投資をするなら、金融庁の登録業者一覧で登録を確認したうえで、会社の公式窓口・URL・アプリの提供者・入金先を照合します。登録業者を名乗る偽物もあるため、届いた案内だけで判断しません。SNSなどの相手が指定する個人名義口座への送金や、公式案内で確かめられない入金先の指定には応じないでください。
- 「引き出すには手数料が必要」と言われたら、それ以上払わず、#9110 に相談します。
- 「口座を貸して」「荷物を受け取って送るだけ」といった誘いにも応じません。口座の売買や譲渡は犯罪で、あなたの口座が止められます。
どの手口にも共通する赤信号
- 急がせる「本日中」「24時間以内」「今すぐ」
- 場所を移させるLINE、ビデオ通話、別のサイト、ATMへ
- 秘密にさせる「家族にも言わないで」「捜査の秘密です」
- 番号を言わせる暗証番号、認証コード、カード番号、パスワード
- 知っていることを並べる名前、住所、注文内容、免許証番号。いまは本物の証拠になりません
- お金を動かさせる振込、ギフトカード、電子マネー、暗号資産、「安全な口座」への移動
- スマホやパソコンを操作させるアプリを入れる、画面を共有する、届いたコードを読み上げる、「承認」を押す
- 声や顔を見せる家族の声、制服の警察官、著名人の動画。AIで作れるので、本物の証拠になりません
入力してしまった、答えてしまったら
早く動くほど、止められる可能性が上がります。被害に遭ったときの手順を、上から順に進めてください。
- 被害のあとに「被害金を取り戻せる」「返金の手続きを代行する」と連絡してくる相手にも注意します。相談は、自分からかける #9110 や 188 を使います。
- 偽サイトはフィッシング対策協議会(info@antiphishing.jp)に報告できます。報告は、ほかの人の被害を減らします。
出典:警察庁「フィッシング対策」、警察庁「ニセ警察詐欺に注意」、警察庁「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等(暫定値)」、警察庁「SNS型投資詐欺」、警察庁「SNS型ロマンス詐欺」、国民生活センター「2時間後に電話が使えない!?」、国民生活センター「サポート詐欺」、神奈川県「アプリ悪用手口に注意」、NTTドコモ「不正なアプリのインストール」、ソフトバンク(同じスレッドに表示される偽装SMS)、LINEヘルプ(認証番号)、デジタル庁「個人情報の保護について」、デジタル大臣記者会見(2026年6月22日)、タイムズカー「ご質問と回答」Q6・Q10、国民生活センター「国民生活センターをかたるニセの電話やハガキにご注意ください」、佐川急便のお知らせ、ヤマト運輸第2報(対象項目・PDF)、ヤマト運輸第3報(調査状況)